言葉から音へ、戦場の空気が変わる
ドゥルヨーダナは自軍の強さを語りながらも、敵軍の布陣を前に不安を抱えていました。その様子を、総司令官ビーシュマは見抜きます。
ビーシュマは、ドゥルヨーダナを安心させ、自分の武勇を確信させるため、獅子のように大きく吠え、法螺貝を吹き鳴らします。それは一人の不安を鎮める音であると同時に、全軍へ戦いの開始を告げる音でもありました。
ビーシュマはカウラヴァとパーンダヴァ双方にとって祖父格の人物です。両方から尊敬される老戦士が、カウラヴァ軍の先頭で開戦の合図を発します。
ここで場面は、ドゥルヨーダナによる言葉の鼓舞から、戦場全体を動かす音へ移ります。
ギータプレス版からの日本語訳――第1章第12節「ビーシュマの獅子吼と法螺貝」
第1章第12節
tasya sañjanayanharṣaṁ kuruvṛddhaḥ pitāmahaḥ |
siṁhanādaṁ vinadyoccaiḥ śaṅkhaṁ dadhmau pratāpavān || 12 ||
訳
カウラヴァ族の老大人であり、 彼らの栄光ある祖父格であるビーシュマは、 ドゥルヨーダナを喜ばせるために、 獅子のように恐ろしく吠え、 自分の法螺貝を吹き鳴らした。
注釈訳
バーフリーカに次いで、 ビーシュマはカウラヴァ族の中で最年長の人物であった。
彼はカウラヴァとパーンダヴァの双方に同じ程度の血縁関係を持ち、 両家の祖父格であったため、 双方から尊敬される存在であった。
そのためサンジャヤは、 彼をカウラヴァの「老大人」、 また「祖父格」と呼んだのである。
彼は非常に高齢であったが、 気力、 力、 身体の健やかさ、 英雄性において、 若い主要な英雄たちさえしのいでいた。
そのため、 彼は「栄光ある」と表現されている。
この老戦士は、 ドゥルヨーダナがドローナ先生の近くに立ち、 パーンダヴァ軍の布陣を見て少し驚き、 不安を抱いているのに気づいた。
さらに、 ドゥルヨーダナがその不安を抑えながら、 戦士たちを励ますためにカウラヴァ軍を称賛し、 ドローナや他のマハーラティたちにビーシュマを守るよう促していることにも気づいた。
そこでビーシュマは、 自分の偉大な武勇をドゥルヨーダナに確信させ、 彼の心を喜ばせ、 総司令官として戦いの開始を告げるために、 獅子のように大きく吠え、 力強く法螺貝を吹き鳴らした。