126.自然・環境系というもう一本の重要な川
ここで改めて重要になるのが、自然回帰、環境運動、NPO・NGO、自然農、パーマカルチャー、エコビレッジ、ヘンプ、オーガニックなどの文化である。これらは引き寄せとは別の場所から始まっている。しかし、「近代社会は自然から離れすぎた」「人間は世界をコントロールしすぎている」「もっと自然に任せるべきだ」「大量生産・大量消費から降りるべきだ」という世界観を共有する。
そのため、ニューエイジやスピリチュアルとの交流が起きやすかった。
127.環境思想とスピリチュアルが混ざると何が起こるか
- 環境思想では、「自然には自己調整能力がある」と言う。
- スピリチュアルでは、「宇宙には完璧な流れがある」と言う。
- 自然農では、「自然に任せる」と言う。
- 引き寄せでは、「宇宙に任せる」と言う。
- ノンデュアリティでは、「個人がすべてをやっているわけではない」と言う。
言葉が非常に似ている。そのため、本来異なる思想が、「大きな流れに任せる」という共通言語によって接続される。
128.そこから「近代社会全体へのアンチテーゼ」が生まれる
この文化圏では、単に働き方だけではなく、
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農業。
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食。
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医療。
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教育。
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経済。
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金融。
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企業。
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政府。
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科学。
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テクノロジーなどへの批判が一つの世界観としてまとまることがある。基本的な物語は、「本来自然だった世界を、人間が人工的な制度によって複雑にしてしまった」というものだ。だから、
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自然に戻る。
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身体の声を聞く。
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直感に従う。
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地域で助け合う。
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自給する。
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お金への依存を減らす。
という方向が出てくる。
この段階の思想は、「何もしなくても宇宙がお金をくれる」とはかなり違う。むしろ、社会の仕組みそのものを変えようとする思想である。
129.社会変革から個人的願望実現へ
ところが、ここにも大きな変化が起きた。昔のカウンターカルチャーでは、
- 社会を変える。
- 共同体を作る。
- 新しい生活様式を実験する。
- 農業を変える。
- 消費を減らす。
という方向が強かった。
しかし現代スピリチュアルでは、自分の人生だけを理想化する方向へ移ることがある。社会全体が変わらなくても、「私は会社を辞めて自由になりました」ならよい。農業制度が変わらなくても、「私はオーガニックな生活をしています」ならよい。経済システムが変わらなくても、「私は豊かさを引き寄せています」ならよい。つまり、社会的ユートピアが個人的ユートピアへ縮小したとも言える。
この章で生じうる解釈の乖離
論理的に確認できること 感情が先行した解釈 集団的な社会変革と、個人の願望実現は異なる課題である 自分の現実だけを変えれば、社会問題からも抜け出せると考える
130.これは「政治からライフスタイルへ」という変化でもある
1960年代の対抗文化には、政治運動と生活文化が混在していた。しかし時代が進むにつれ、政治的変革より、個人のライフスタイル選択として残る部分が大きくなる。社会を変える代わりに、
- 自分の食を変える。
- 自分の住む場所を変える。
- 自分の働き方を変える。
- 自分の意識を変える。
そして最後には、自分の波動を変える。社会批判が、どんどん個人の内面へ移動していく。
この章で生じうる解釈の乖離
論理的に確認できること 感情が先行した解釈 個人の消費・生活選択は公共的問題へ影響し得るが、それだけで制度全体が変わるとは限らない 日常の選択だけで、政治的・構造的な問題も解決できると考える
131.「波動」は社会問題を個人化する究極の言葉になり得る
「波動」という言葉を使えば、ほとんどすべてを個人の内面に還元できる。
- 仕事が合わない。
- 波動が違う。
- 人間関係が悪い。
- 波動が違う。
- お金がない。
- 豊かさの波動になっていない。
- 健康が悪い。
- 身体の波動が乱れている。
もちろん比喩として使うなら問題はない。しかし因果説明として使えば、社会的・生物学的・経済的な複雑な原因が、すべて一つの言葉に吸収されてしまう。
この章で生じうる解釈の乖離
論理的に確認できること 感情が先行した解釈 社会構造の原因を、個人の波動の高低だけに還元することはできない 社会問題は個人の波動が作っており、波動だけで解決できると考える
132.複雑な世界に対して単純な説明を与える魅力
人間は複雑な世界を理解したい。しかし現実は複雑である。
- なぜ成功する人と失敗する人がいるのか。
- 能力。
- 家庭環境。
- 教育。
- 健康。
- 運。
- 人脈。
- 景気。
- 政策。
- 地域。
- 時代。
- 偶然。
- 無数の要因が絡む。
ところが、「波動」「引き寄せ」「宇宙」なら、一つの原理ですべて説明できる。
これは知的には単純すぎるかもしれない。しかし心理的には非常に安心できる。
この章で生じうる解釈の乖離
論理的に確認できること 感情が先行した解釈 多因子で生じる出来事を、単一原因だけでは説明できない 複雑な出来事も、一つの宇宙原理だけですべて説明できると考える